世界バレー3次ラウンド2日目の対戦相手は、参加国で唯一無敗を誇るイタリア。
日本はこれに勝つと準決勝が、負けると5-6位決定戦が待っています。
目標とするメダル獲得のため、準決に駒を進めることができるのか?
その分かれ目となる試合です。
対イタリア戦・第1セット(20-25)
毎度気になるスタメンですが、このセット、レフトに古賀紗理那・黒後愛選手、ライトに新鍋理沙選手を起用。
イタリアのエゴヌ選手を中心とした高くパワフルな攻撃に、まずは守備を固めようというオーダーです。
序盤から、今日も日本のバックアタックが機能しそうという予感がありました。
また最近思うように活躍できずに下げられてしまう黒後選手に、思い切りが戻ったよう。
相手ブロックに上手く吸い込ませたり、ブロックアウト狙いのヒットなど、良いプレーが見られます。
一方で高いイタリア、193cmのエゴヌ選手はやはりブロックの上から打ち込んできます。
シッラ選手はものすごいパワーで、しかも速い。
これに1セットかけて目と身体を慣らしていかなくてはならないのですから大変です。
その上このセット、イタリアはセンター攻撃が多く決まり、リードを保ったまま試合を進めます。
しかし荒木絵里香選手のブロード攻撃が鋭角に決まった10点目からはムードも上がり、じりじりと点差を詰めていきます。
エゴヌ選手のバックアタックはまるで前衛から打っているかのようですが、古賀選手がすぐにやり返して11-14。
リベロ・井上琴絵選手のジャンプトス→新鍋選手のスパイクは良かったですね、これで12点目。
エゴヌ選手が鋭く打ち込み12-15となるも、イタリアのスパイクミスで13-15。
2点差まで詰めましたが、古賀選手のサーブミス後に黒後選手がブロックされて13-17となると、すぐさま中田監督がタイムアウトを要求。
それにしてもエゴヌ選手のドシャットの迫力はすごかった!あれは怖い!!
TO明け、荒木選手のナイスワンチがあるも、今度はシッラ選手に新鍋選手が止められ14-19と開きます。
荒木選手のBクイックで15-19となったところで日本は二枚替え。長岡望悠選手と冨永こよみ選手がコートに入ります。
長岡選手がレフトから決めて16-21、エゴヌ選手のバックアタックで16-22。
これを長岡選手がライトから切って17-22。
古賀選手のストレートが冴え18-23となったところで二枚替えを戻します。
黒後選手のバックアタックがブロックに叩き落され、イタリアに24点目。
ライトから古賀選手が決めたり相手のミスが出たりで20点台にはのせますが、最後はボゼッティ選手の強打にピリオドを打たれてしまいました。
対イタリア戦・第2セット(25-22)
次のセットは黒後選手に代わり、石井優希選手がスタメン出場。
この日、古賀選手はよくブロックが見えているのが分かる1点目。
そしてここから、日本は守備で本領を発揮します!
ラリー中に強打を何本も上げ、イタリアスのパイクミスで3-1としたのは象徴的なシーンで、全員が実によく拾いました。
井上選手のスーパーディグから始まったラリーを、荒木選手のクイックで制した5-2は感動的ですらあった!
日本がまさに球にくらいついていく展開で、イライラするイタリアにミスもあり、8-4とリードしてテクニカルタイムアウトを迎えます。
TO明け、エゴヌ選手のバックアタックに会場がどよめく場面がありましたね~。
あの角度はえげつなかった!人間業ではとれないと思います。
しかし次を石井選手がきっちり打ち切り9-5とすると、サービスエースで10点目ももぎ取ります。
エゴヌ選手のまるでブロックなどないかのようなストレートや、シッラ選手のパワー炸裂強打もありますが、荒木選手の移動攻撃や古賀選手の鋭いスパイクで日本も順調に得点を重ねます。
石井選手が決めた14点目の取り方も、そこまでの流れが日本らしくて良かったですね。
ここでセルビアがタイムアウトを要求です。
TO明けはエゴヌ選手の高い位置からのストレートに切られるも、田代佳奈美選手のツーで15-10。
新鍋選手がレフトから速い攻撃を決めて16点目。5点差でテクニカルタイムアウトと好調です。
このようにイタリアが崩されると、攻撃はエゴヌ選手頼みになりがちです。
しかもそれで間違いがない。本当に決定力のある選手ですね。
イタリアが3連続得点で16-14と詰め寄り、ここで日本がタイムアウト。
まずはサイドアウトをとりたいところですが、古賀選手がブロックされ16-15。
しかし次の一本はきっちりストレートを抜いて譲りません。
競った展開になってきましたが、ここで荒木が止めたー!
18-15とし、チームを盛り上げます。
そんな後でもエゴヌ選手がストレートを打つと、テレビ越しにも伝わる会場内のため息…。
シッラ選手のスピード溢れる攻撃で19-18と迫られますが、古賀選手が決めて20-18。
そう、こうやって1本ずつ切っていきたい、そうすればこのセットは取れるのです。
お互い1点ずつ積み重ねていく展開が続くと、待ってました!な荒木選手サーブのオーダー。
今日も彼女のサーブは効果的に相手を崩し、23-20と突き放しにかかります。
新鍋選手の完璧サーブレシーブから奥村選手の移動攻撃でセットポイントを握ると、イタリアのオーバーネットで第2セット終了のホイッスル。
25-22と、優勝候補筆頭のイタリアから1セットを奪ってみせました。
対イタリア戦・第3セット(21-25)
中田監督はこのセットもレフトには石井選手を起用、いきなりサービスエースを取りました!
このまま先行していきたい日本。
石井選手の超ファインプレーな素晴らしいつなぎが出ると、なんと古賀選手がボゼッティ選手をドシャットー!
またもよくつなぎ、日本が3-0と走り出します。
しつこいディフェンスを実行できると、ここまで強豪と互角に戦えるんですね!
もちろんイタリアも黙っていません。
現在ブロックランキング1位のダネージ選手やエゴヌ選手のブロックが日本の勢いを削ぎにきます。
日本は新鍋選手がキレのあるコース打ちで対抗、競った展開に。
すると1セット落としたことが火を点けたのか、イタリアは強烈なサーブとスパイクで6-8と逆転してテクニカルタイムアウトへ。
キリケッラキャプテンを中心に、とにかくイタリア選手たちの気迫がすごかった!
TO明けは荒木選手のブロードで7-9、奥村選手のブロックで8-9とミドルが頑張ります。
田代選手のサーブで崩し、石井選手がブロックアウトをとって10-11。
しかしここから日本はサービスエースとブロックポイントを取られ、10-14と離されかけたところでタイムアウトを要求しました。
古賀選手の上手くブロック抜いた得点や奥村選手のナイスレシーブが出るも、12-16と変わらぬリードを許したままテクニカルタイムアウト。
シッラ選手の重いスパイクを拾って荒木選手が決めた14点目など、好守備からの切り替えしはあるのですが…
エゴヌ選手を見ていると、とにかく自由!
フリーで打っているような高さと速さで、そのアタックはなんと99.9キロのスピード。
攻守に石井選手の良いプレーが出るのですが、またエゴヌ。またまたエゴヌ!やっぱりエゴヌ!!という感じで、日本になかなか連続得点を許してくれません。
18-22で日本がタイムアウトを取った後、イタリアにつなぎのミスが出て19-22となったのが最後のチャンスでした。
バタバタした展開の中、新鍋選手が深い位置に決め20-23。
今度はシッラ選手で20-24。
古賀選手がストレートを抜いて21-24。
追い上げたい日本でしたが、またもシッラ選手に決められこのセットを落としてしまいます。
対イタリア戦・第4セット(25-19)
第4セットは、古賀選手に二本連続スパイクミスが出て0-3となる出だし。
ここから追い上げを見せ、新鍋選手のクロスで1-3、ラリー中の石井選手のバックアタックで3-4とすると、イタリアスのパイクミスで4-5。
石井選手のナイスレシーブ→荒木選手のめいっぱい幅を使ったブロードで6-4としたのはいいコンビでした。
逆転すると、シッラ選手のタッチネットなど、イタリアのイライラが垣間見えます。
しかしこれに付け込めず、古賀選手のストレートを締められ6-7、バックアタックのトスが低くなり7-7と同点に。
次は荒木選手が押し込み、8-7と辛うじて1点リードでのテクニカルタイムアウト。
荒木選手のストレートが素晴らしい!移動攻撃で9-7。
エゴヌ選手の問答無用のバックアタックがあるも、石井選手がきれいに切って10-8、次も石井で11-9、好調の新鍋選手で12-9。
サーブレシーブが安定し、日本の攻撃もしっかり決まります。
13-10とした奥村選手のCのブロードもキレがありましたねー!
石井選手のサービスエースで14-10、またまた崩すとエゴヌ選手が連続アウトにして16-10。
日本はこの日一番の盛り上がりでテクニカルタイムアウトとなります。
ミドル奥村選手・ライト新鍋選手の並びは二人とも170cm台と高さはありませんが、スピードとテクニックがあって私は好きです。
奥村選手がサーブのターンで強打を拾い、これを古賀選手が決めきり18-11とした1点は大きかった!
イタリアタイムがタイムアウトを要求します。
その後日本の攻撃が読まれドンピシャで止められるシーンがあるものの、新鍋選手のサービスエースで20-13、古賀選手がうまくブロックアウトをとり21-14、石井選手がストレートを抜き22-15。
危機感を抱くイタリアも粘り、キリケッラ選手の高いクイックで22-16、良いつなぎを見せ22-17と追いすがろうとするところで日本のタイムアウト。
しかしイタリアにタッチネットが出た後は、新鍋選手が決め切って25-19!
イタリアから2セットとったのは、この大会を通して初ですよ。
勝負はフルセットにもつれ込みます。
対イタリア戦・第5セット(13-15)
さてエゴヌ選手の強烈なスパイクから始まった第5セットは、2本目もやはりエゴヌ!
イタリアを走らせたくない日本は、古賀選手が真ん中に決めて1-2。
ここからイタリアにコンビミスなどが続き、新鍋選手がシッラ選手からサービスエースを奪い4-3と逆転。
イタリアはエゴヌ選手の得点と失点で5-4、キリケッラ選手の速攻で5-5とします。
ここで荒木選手の素晴らしいコース打ち!
さすがの落着きで6-5とすると、そのまま荒木選手のサーブが決まり7-5。
アナウンサーが「荒木が猛威を奮っている!」と実況していて、確かに、と思いました(笑)
その後、石井選手がうまくブロックアウトをとり8点先取、コートチェンジです。
後半はまたもエゴヌ選手の、会場しんとさせる渾身の1点でスタート。
石井選手がライトから思い切りの良いスパイクを打ちこみ9-7とすると、エゴヌ選手は奥を狙い9-8。
ここで古賀選手のスパイクがアウトなり9-9、続いてブロックされ9-10と逆転される苦しい場面。
日本はタイムアウトをとりました。
さあ15点マッチのファイナルはここからが勝負です。
新鍋選手がライトからクロスに決め10-10とすると、相手もライトからエゴヌ選手を使い10-11。
小幡真子選手のナイスサーブレシーブ→荒木選手の速い攻撃で11-11とした時は希望が見えました。
イタリアはエゴヌ選手に集め11-12、さらに荒木選手をブロックして11-13。
日本は最後のタイムアウトです。
シッラ選手の14点目は、まさに死にもの狂いで取りに来ているような気迫でした。
それにしても小幡選手サーブレシーブきれいだなあと思う間もなく荒木選手が今度は決め返し12-14。
このまま粘りたい!ところでやはり!荒木のブロックー!!
その前に井上選手の素晴らしいレシーブがあり、止めたのもシッラ選手だったので、中田監督も渾身のガッツポーズです。
これで13-14とするも、エゴヌ選手の強打が突き刺さり15点目はイタリアが取りました。
セットカウント3-2でイタリアの勝利です。
まとめ
試合後、中田監督が「力は発揮した。」とおっしゃいましたが、実際良い試合で、良いプレーが沢山出ました。それでも日本は負けました。
守備をどんなに磨いても、強豪国の190cmを超える長身エースを抑えきるのは並大抵のことではない、と痛感させられます。
日本は19日金曜日に行われる5位決定戦に回ります。
対戦国はアメリカ。
中田監督の「責任を持って戦いたい。」という言葉が印象的で、どう世界バレーを締めくくるのか、楽しみに応援したいと思います。