昨年まで8チームで優勝を争っていたVプレミアリーグ。今シーズンからは10チームで争うV1リーグとして生まれ変わりました。
新しいチーム、新しい対戦にワクワクしています!
もう明日は新たな試合が行われるのですが、その前に今回は11月4日に呉市総合体育館で行われた東レアローズ対サントリーサンバーズ戦の感想をまとめておきたいと思います。
なにしろ驚きの展開があったので!
ちなみにDAZNでの観戦です。
個人的な見どころ
この試合の見どころ…それは東レの攻撃!
生で東レの試合を初めて見た時、その立体的な攻撃の展開に心が躍ったんですね。
それはもちろん藤井直伸選手というセッターと、富松崇彰&李博選手という優れたミドルブロッカーが揃っているからこそ。
しかし現在、李博選手はケガをしており、207cmの伏見大和選手もフル出場できる状態にない…。
東レは贅沢なミドル陣を抱えつつも、センター線の台所事情が苦しいことになっているんですね。
そこで誰がスタメンになるのかと思いきや!
なんと、サイドアタッカーの戸嵜嵩大選手がミドルにコンバートされているではありませんか!
彼は190cmと日本人としては高身長ですが、ミドルとしてどんなプレーを見せてくれるのか!?
個人的に大注目の一戦なのです。
スターティングメンバー
☆東レアローズのスタメン
アウントゥ→戸嵜嵩大→落合一貴→星野秀知→富松崇彰→藤井直伸
リベロ:井手智
(敬称略・サーブオーダー順)
★サントリサンバーズのスタメン
大宅真樹→栗山雅史→星谷健多朗→ドミトリー・ムセルスキー→藤中謙也→鈴木寛史
リベロ:鶴田大樹
(敬称略・サーブオーダー順)
第1セット
序盤は両チームともにバタバタする展開。
サーブミスやスパイクミスなどが連続であり、つまらないゲームになりそうな予感が止まりません…。
そんな中で特に光ったのは、富松選手のブロックとクイック。
特に11-12とした時のブロックは完全に読んでいて、見ていて気持ちのいいシャットでした。
しかも彼はムードを盛り上げるのが上手いので、チームが明るくなるんですよね。それがチャラい上げ方ではなく、闘志あふれる感じなのが好き。
強くて上手くて速い!自分が男子セッターだったら最もトスを上げたいミドル選手です。
それから今シーズンからサントリーに加わったロシア代表・ムセルスキー選手の高さ・速さも目をひきます。
積極的にチームメイトに声を掛けている姿も印象的でした。
サントリー側では他にも栗山選手や藤中選手のキレや上手さが一発で分かる良い攻撃があるのですが、単発になってしまうため、流れというものがなかなか生じません。
ふだんセンター線の活躍が目立つ東レはこのセット、サイド中心の攻撃です。
中でも19点目をとった星野選手のレフトからのスパイクは良かったです。すぐさま落合選手が20点目をとり、終盤にきてようやく「流れ」というものを東レが先につかんだ様子。
さらに21点目をとった富松選手のクイック!!ブロックがついていけていませんでした。
ムセルスキー選手がブロックなどおかまいなしの高さ&鋭さで20-21と追い詰めますが、ミドルとして入っていた戸嵜選手がクイックを決めて、東レ24点目。
セット開始からクイックに入るの早いしブロックも頑張ってついていってるなあと思っていましたが、この1本が決まって嬉しかった!
25点目をとった落合選手の気迫も素晴らしかったです。
というわけで、東レが25-23でセットを先取しました。
第2セット
第2セットに入ると、両チームとも新加入の選手の特徴や活躍ぶりが際立ってきました。
サントリーはムセルスキー選手がいよいよ目立ってきます。
なにしろ218cmの長身は世界最高峰!
ブロックの上から予想外の所に打たれたり、レシーブが入っていても角度とスピードがありすぎて反応が遅れたりしてしまいます。
今季はどのチームも対ムセルスキー選手対策のレシーブ体系が課題になってくるのでしょうね。
そして東レサイドでも、アウントゥ選手の滞空力や打ち分けの器用さが見えてきました。
しかもチームメイトとハイタッチする時に見せる笑顔がチャーミングですね。
また目につくのは、違うポジションを担っている戸嵜選手のミドルとしての動きの速さです。
日本のバレー選手としては長身ですから、子ども時代や学生時代にミドルを任されたこともあるのでしょう。
それでもふだんサイドアタッカーとは思えぬ身のこなしのうえ、とにかく速攻に入っていくんでよね、ちゃんと。
ブロックに跳んだあとでも囮をサボろうとしないし、常に攻撃態勢を作っていく、その意識の高さに感心してしまいました。
昨シーズンの終わりに東レの内定選手としてプレーしている姿は見ていて、良い意味で初々しくひたむきな選手だなと思いましたが、バレーに対して真面目なんでしょうね。
応援したい選手の一人になりました。
さて試合のほうは東レが序盤からリードしたまま二回目のテクニカルタイムアウトを迎えますが、16-12でサントリーがセッターを大宅選手から岡本祥吾選手に代えてきました。
ここからは、ムセルスキー選手が高さと力でねじ伏せる場面が増えていきます。
しかし切るべきところは切る東レ。
その切り方がワンパターンにならないのが藤井バレーの面白いところ。
富松選手の速攻を続けざまに使ったりするのは本当にしびれる。特に21点目を取ったCクイックはすごかった!!
また直後の22点目ですよ。
難しいハイセットの球を戸嵜選手が打ち切ったんですね。
後ろの方からくるあの高いボールを決められるのはさすがサイドアタッカーだなと思いましたし、決めた時の吼え方もチームの士気を高めました。
その後はミドルらしい速攻で23点目を取るなど、センタープレーヤーとしての付け焼刃感が全くない!
きっちり仕事をやり抜いているのが素晴らしかったです。
最後にムセルスキー選手がアタックにブロックに得点を重ね、26-24と東レがこのセットを落としたのですが、”プロの技術”が見られたセットでした。
第3セット
3セット目は藤井選手と岡本選手、どちらの組み立てる攻撃も冴えて見応えある展開に。
サントリーの岡本選手をじっくり見るのは初めてだったのですが、ハンドリングが素晴らしくて見入ってしまいますね。
打ちやすそうなワンハンドトスも上げていらしたなあ。
それからここだけの話、私の好きなイギリス人俳優に雰囲気が似ていて、ファンになってしまいました。
一方東レでは、要所要所で魅せる富松選手…今でも十分全日本で活躍できるのに、実にもったいない(実際にVリーグでの数字も物語っている)。
もうこれは東レの試合を見るたびに思うことですね。
試合は一進一退という形でしたが、ムセルスキー選手をアウントゥ選手がシャットアウトし19-20、サントリーにTOを取らせて以降、東レのレシーブに粘りが見え始めます。
しかしサントリーはリリーフサーバーに小川猛選手を投入、彼のサーブがエースとなり21-21と並び、ムセルスキー選手の強打で21-22と逆転されます。
シーソーゲーム。
ここからどう攻めるのか?というところで、今度は藤井選手のサービスエース!
24-23と逆転し返し、最後はアウントゥ選手がフェイントを決めて25-23と東レが接戦をものにしました。
第4セット
またも競る展開の第4セット。
東レは落合&富松選手のサービスエースや富松選手のブロック、星野選手のセンターに切り込む攻撃などでリズムを作ります。
一方サントリーも栗山選手の鋭いバックアタックや塩田選手のノータッチエースで譲らない。
アウントゥ選手が難しいトスを決め9-9としたのはダイナミックでした。
ずっと1点差~同点を繰り返しブレイクを許さぬ展開の中でも、戸嵜選手がクイックを決めるなどきっちりミドルとしての仕事をこなすのには実況&解説者も唸ります。
東レがサントリーのブロックにつかまる場面もあるものの、落合選手の連続エースで15-14。
彼は本当に気合が入ってました。
ここからは繋いで繋いで決める東レvsムセルスキー選手が一発で黙らせるサントリー的な構図が続きます。
そんな中、藤中選手の冷静さや技術が光る場面があり、いい選手だなあとしみじみ思う。
今年の9月1日付でプロに転向しましたし、若いながら今季からサンバーズの主将も務めているんですよね。
落ち着いていい仕事をする彼のスタイルはバレー選手としてとても好きです。
しかしここから東レは「らしさ」を発揮。
リードを許していましたが、星野選手と富松選手の連続ブロックで22-22と追いつきます。
そして24-24とデュースになったところでセッター藤井選手に代わり、伏見大和選手をワンポイントブロッカーに起用。
これがドンピシャ!まさに値千金のブロックポイントでした。
しかも止めた相手はムセルスキー選手!!
伏見選手もケガを抱えていますし、これまでは「悔しいだろうなあ」という場面を見ることの方が多かった。
だから会心の笑みを久しぶりに見られて良かったし、この伏見選手のシャットアウトは本当に嬉しかったです!!
最後は富松選手のサーブがネットインしてエース獲得。
26-24で東レがこのセットをとり、セットカウント3-1で勝利。
連敗を2で止めました。
まとめ
どちらかというと贔屓の東レが勝って嬉しかったのですが、今季はサントリーというチームも魅力的に見えますね!
好きなチームを応援するのも楽しいですが、面白い試合を観られるのが一番です。
ところで、この日DAZNで解説をしていた大竹秀之氏は元日本代表のセンタープレーヤーです。
その彼が、現在ミドルにコンバートされている戸嵜選手を「完璧」と評していました。
今後サイドに戻るでしょうが、彼のミドルぶりを見るのも楽しみの一つです。
また初めて見たアウントゥ選手ですが、彼のバックアタックは見ていて非常に気持ちが良いですね。
東レはムードの良いチームですが、たまにぽっと穴が開くので、ぜひそこを引き締めて行ってほしいと思います。
サントリーのほうは昨年より強くなっている感がありますので、次の豊田合成戦がとても楽しみです!