IH予選を3回戦で敗退したものの、三年生が春高まで残ると決断した烏野高校。
それにむけて再始動!といきたいタイミングで、顧問の武田先生が強豪校との東京合宿の話を持って来てくれるところから『ハイキュー!!』9巻スタート!
なのですが、私、この↑9巻の表紙が全巻の中で一番、というか唯一苦手で…
まあ主人公の日向があまり好きではないというのもあるんですが、この表情には嫌悪感に近いものさえ覚えるんです。
かっこ悪く見える。
この漫画自体は好きなのになぜだろう?と思っていたのですが、その理由が本編を読んでよく分かった巻でした。
高校生、部活動とお勉強
夏合宿!東京遠征!!
きつ~い練習が待っていると分かっていても、心躍るこの響き。
だがしか-し!!
その前に片付けなくてはならないものがある―そう、期末テストです。
もし赤点をとったら補習優先のため、合宿には行けないことに…
高校生ですから当然ですね!
田中・西谷・影山・日向の”バカ4人”(by大地さん)は焦って必死に勉強を始めます。
学年ごとに集まって勉強しようとするところが中学生みたいで微笑ましいですが、もっと笑えて好きなコマがこちら。

<古舘春一『ハイキュー!!』第9巻・P31 集英社>
日向に勉強を教えてくれと頼まれた月島が、ふつうに「えっ嫌だけど」と断る。
この軽~く自然な、さも当たり前のような断り方、私も真似したい!
えっ嫌だけど、えっ嫌だけど、って声に出して練習しておこう…。
ところでふつうの高校生にとって【部活<勉強】なのは当然のことですが、我が高校バレー部にも鉄の掟がありました。
それは「赤点をとったら試合に出さない」というもの。
戒め的に一応あるルールとかではなく、本当に赤点の多かったメンバーは背番号からして1桁をもらえず、練習試合にも出場できませんでした。
(それでもし部活を辞めるなら、勉強時間が増えて本人のためだと監督は本気で言っていた。)
うちの代はレギュラーのほとんどが成績良くて、競い合うように勉強をしていたのでそれで困ったことはありませんが…けっこうレギュラーと控えの実力差があったので、もし誰かが赤点をとっていたら大問題だったと思います。
でも確かに、やりたいことだけやっている人より、やりたくないこととも向き合っている人の方がメンタルは強くなると感じます。
肝が据わるといいますか、大人になるといいますか。
勉強することで得られるのは知識だけではありませんからね。
烏野に新しいマネージャーがやって来る!
さて、春高予選まで残ることにした三年生を見て、9巻ではマネージャーの清水潔子が頑張ります。
自分たちの引退後を考え、後輩をマネに勧誘するんです。
私は中学&大学ではプレーヤーでしたが、高校には女子部がなく実は男バレマネでした。
私のところに勧誘に来たのは野郎どもで、他人の世話などごめんだと何度も断ったものですが、こんなに美人で優しい先輩がが来てくれていたらあっさり入部していたかもしれないなあ…。
彼女の頑張りが実って、めでたく一年生・谷地仁花(やちひとか)の入部が決定!
めっちゃ可愛いんですけど!!

<古舘春一『ハイキュー!!』第9巻・P45 集英社>
やっちゃんこと谷地さん、キャラがとてもいい!
潔子さんの方はなんだか男性の憧れが詰まった、でも実在しないようなキャラ(ふわふわした描かれ方をしているから)なのですが、やっちゃんは親しみがもてる。
慌てん坊具合とか、ちょっと自分に自信のないところとか…なんかこういう友だちいたし、その子のことみんな好きだったな。
でもすんなり入部が決まったわけではなく、バレーどころかスポーツ経験すらない自分でいいのか、悩みます。
私自分から進んで何かやったりとか
逆に何かに必要とされたりする事ってなかったので…劇とかやっても絶対”その他大勢”の一人なんです
村人Bとか木とか
だからバレー経験のない自分を一生懸命誘ってくれて嬉しかったというやっちゃんですが、ビジネスウーマンな強い母に
本気でやってる人の中に入って中途半端やるのは一番失礼な事だからね
と言われ、悩みます。
でも潔子や日向の言葉に決意が固まって、宣言する台詞がいい。
村人Bも戦えます!!!
私バレー部のマネージャーやるからああああああ!!!
一つ殻を破った谷地仁花。
“村人Bも戦える”って、いいフレーズですね。好き。
男子運動部の女子マネージャーの立ち位置は、学校や部活によってまちまちです。
ただマネージャーって、部員の感謝なしにやりがいを持つのは難しいと思っていて。
基本的に他人の世話が仕事だから、無給のボランティアみたいなものなんです。
正直私は、自分がプレーするほうが100倍好きでした。
それは「上手くなる」とか「試合で勝つ」とか、見返りがあったからなんですね。
だからマネージャーやるに当たって、どんなチームでどんな部員なのかは非常に大きい。
その点、烏野高校は2年・3年の先輩が優しいし努力家揃いだから、やりがいがあっていいなと思います。
ところで…余談ですが、後輩の勧誘にあたり潔子が描いたと思われるイラストの破壊力よ。

<古舘春一『ハイキュー!!』第9巻・P44 集英社>
背番号1ってことは、モデルは大地なのかな…主将ドンマイですね!
いよいよ東京遠征へ!!
期末テストでは日向&影山コンビがやらかしたものの、田中の姉・冴子の協力で合宿に滑り込む二人。
音駒高校メンバーとの再会です。
さらに今回は、音駒含む梟谷学園グループの高校が集う合同練習試合。
そして音駒と対戦中の烏野に、こんなワンシーンがあるんです。
ちょっと短くなってしまったレフト・旭へのトスを、横取りするように突っ込んでいく日向。

<古舘春一『ハイキュー!!』第9巻・P186 集英社>
この後日向は土下座で謝るのですが、本当に、シャレにならないくらい危険なプレーです。
なぜコートの中からも外からも「旭!」という声が聞こえているのに無視して突っ込むの?
要は日向は周りが見えていないんですよね。
そして私はこの左ページの日向の顔がとても嫌いです。
9巻の表紙と同じ表情だと思います。
嫌いな理由は、
連携が大切なバレーで、周りへのアンテナが立っていないから。
自分のことしか考えてない人の顔だから。
だと実感しました。
そもそも「ザ・漫画」な技である”変人速攻”を面白いとか魅力的とは全く思えない私なのですが、その理由は別に”現実ではありえない”からじゃないんです、だって事実漫画だし。
これを打つ時、日向は目をつぶっていますよね。
で、相手のブロック位置だけ見て自由自在にサイドにジャンプしに行ったりする。
と、いうことは、ですよ?
コート内の味方にぶつかる危険がすごく高いのに、日向は全くチームの中を見ていないことになりますよね?
それってつまり、他の選手たちが気を使ってよけてあげているわけで、でもそれにすら気付いていないことになる。
バレーをやっていた時に限らず、私は今までこういう独善的な性格の人にすごく迷惑を掛けられてきた方だから、日向のことも好きじゃないんだなあと納得した次第です。
フォローに疲れて注意しても、こういう人って「ごめん、悪気はないんだ」とか言っちゃうし。
日向はコミュ力が高いという設定ですが、かなり自分中心でいつも「オレがオレが」なので、もし実在しても仲良くならないだろうなあ。
なんて思ったりした9巻でした。
最後にひとつ「及川的性分」とは…
終わりに、9巻について思うことをあと一つだけ。
ここまでの登場人物で一番好きな青葉城西のエース・岩泉一のことを「弱い」と言い切った白鳥沢の牛島若利!
この漫画を勧めてくれた友人が私に「あんたの性分は及川タイプ」と言っていたのですが、そのワケもよく分かりました。
仮に自分が非凡な才を持った選手だとしても、天才と同じチームに入ってあっさり優勝するよりも、そいつを倒して優勝を勝ち取りたい派だわ。
ただ青城のみんなは、白鳥沢より”弱い”ことを自覚してるし、岩泉自身がそれが一番強いのだろうと思います。
そうして努力するところがまた好きなのですけれどね。
というわけで、どうも自分の”持たざる者”意識が刺激される巻でもあったのでした。