『ハイキュー!!』4巻レビュー「音駒の魅力と”部活動”のリアル」

1~3巻までは日向・影山コンビの特別感が強調されすぎて、「まあ漫画だからね」とどこかさめた感覚で読んでいました。

主人公たちだけに特別な能力が備わっていると、どうしても共感できなくて。

でも4巻になって「部活」のリアルさが増してきたように思います。

そしてまた一校、魅力的なチーム・音駒(ねこま)高校が登場し、キャラクターたちの個性が光ります。

音駒との練習試合に思うこと

4巻ではGW合宿とその最終日、音駒高校との練習試合が舞台。

“ネコ”たちのキャラクターがとにかく良いんです!

まず、猫又監督の顔が好き!

<古舘春一『ハイキュー!!』第4巻・P53 集英社>

こういう雰囲気の老猫、いませんか?

選手一人一人への理解があって、自主性を重んじているし、こんな監督の元で部活やりたかったなーっとすごく思いました。
(うちの中学の監督は人間的に全く尊敬できなかったし、高校の監督は一年おきに変わって指導方針がその度に180度変わるので大変だった。)

“食えない”男・黒尾鉄朗キャプテンはとにかくカッコイイ!

イケメン枠の格好良さではなく、男としての器とかクレバーさとかバレーの上手さとか、総合してめっちゃカッコイイ。

彼の口調や言葉のセンスが好きですね。

あと努力が”遊びの余裕”を作っている感じがいい

1年生MB・犬岡走のキャラも好きです。

素直で明るく、屈託のない態度が気持ちいいキャラクター。

<古舘春一『ハイキュー!!』第4巻・P56 集英社>

この↑コマ、小さくてそれほど重要ではないコマなのかもしれないけど、すごく好きだなと思いました。

「ナメんなよ」と言われてこう返せる人、なかなかいないと思うので。

日向たちの速攻を止めた時の「やっと捕まえた!!!」というコマも好きです。

そして前回も書いた孤爪研磨(こづめけんま)

根っからのスポーツマンとは対極の存在の視点を入れることで、”部活”のネガティブな側面もちゃんと見えてくるし、それでも頑張る意味や価値、のようなことを考えさせられますね。

『ハイキュー!!』4巻に詰まっている”部活動”

主人公の日向にはいまいち感情移入できない私ですが、作者・古舘春一さんの描く”高校の部活動”がとてもいいなと思います。

1巻でも朝練に来た田中が体育館の電気をつけるシーンに強烈な懐かしさを覚えました(詳しくはこちら)が、4巻にはもっと詰まっていました。

運動部ノスタルジー

良い面でいうと、ユニフォームをもらった時の新鮮な気持ち。

ほとんどの球技の場合、「ユニフォーム=背番号」ですよね。

学校の名前と番号を文字通り背負うわけですから、誇らしいような気持ちになったのを覚えています。

ユニフォームを配布する場面で久しぶりにそれを思い出しました。

それから、レギュラーメンバーが発表される時の気持ち。

これは嬉しい人もいれば、悔しい人も当然います。

どちらも感情を爆発させることはしませんが、色々と思うところはあるわけです。

この辺のシーンの描き方も、やはり経験者のリアルが詰まっている。

コートの空気感が鮮明に甦りました。

思い出す「体育会系理不尽」

バレーが特別好きでもない研磨が体育会系の部活になじめず、しんどい思いをした回想シーンがあります。

優しい2、3年生ばかりの烏野に比べると、この研磨の経験のほうがリアルだなと思いました。

「センパイ」というのは
1年とか2年早く生まれただけで
どうしてあんなに威張るんだろう?

これ、体育会系の部活にいた人の多くが感じたことのある疑問ではないでしょうか?

私が中1だった時の3年生もほんっとエラそうだったなー。

二人だけエラそうじゃない先輩がいて、それが主将と副主将だった。

で、あんまり上手くない先輩ほど意地悪だったという。

人望と上手さを妬んでか、意地悪組と主将たちとの仲も悪くギスギスして、見ていてしんどかった…。

なんかその時思ったんですよね、体育会系には独特の理不尽があるけれど、それを発動させる人ほど自分に足りないところが多いなって。

自分に自信が持てないからといって他人の自信を砕こうとする奴は、小さくてみっともないなって。

甲子園にせよ春高バレーにせよ、表面だけ見て「青少年が頑張ってる」姿に感動する人も多いと思う(そもそも表面しか見えないし)。

でも今も日大アメフト部の悪質タックルがニュースになっているように、そして時々部活のラフプレーやイジメが発覚するように、陰湿なことと無縁な世界では決してないんですよね、スポーツも

『ハイキュー!!』ではこれ以上そういう面がクローズアップされることはないと思いますが、研磨の言葉に共感した人間はかなり多いと思います。

バレー素人の顧問・武田先生の姿勢

ところで烏野高校バレー部の顧問・武田一鉄先生は、バレーボール経験がありません。

ルールもまだ勉強中ですが部活のために走りまわり、鳥養というコーチを見つけてきたり、練習試合や合同合宿を取りつけたり、彼なりの貢献をしていきます。

教師だって人間ですから、自分ができない類のことを指導する時、ちょっと卑屈になったり遠慮が出たりしてもおかしくはないわけで(実際にそういうコーチや監督を見たことある)。

でも武田先生は生徒思いだし、自分なりのやり方で真正面から向き合っている。

そんな武田に音駒のベテラン監督・猫又さんが声を掛けるんです。

熱意には熱意が返ってくる
あんたが不格好でも頑張ってれば
生徒はちゃんとついてくる

そう言われてのこの表情。

<古舘春一『ハイキュー!!』第4巻・P184 集英社>

思わぬところで泣けてしまいましたが、武田先生だってまだ20代ですからね。

学校の先生ってどんなに頑張っても、子どもから見たらそれが当然のように見えてしまいがちです。

でも実際はそうじゃない。熱意だって教師によって個人差があります。

とにかく武田先生の頑張りが認められて嬉しい巻でした。

烏野は鳥養コーチ一人でも、武田先生一人でも強くならないと思う。

指導者のキャラって難しいと思うのですが、二人ともバレー指導者として未熟なおかげで生徒たちがのびのびできているし、一緒に成長する姿が見られるんでしょうね。

ベテラン指導者の台詞に学べる漫画もいいけれど、コーチや監督ごと応援したくなる漫画もまた素敵だなと思います。

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