『ハイキュー!!』3巻レビュー「”もう一本!”に込める思い」

部活禁止になっていた二年生リベロ・西谷夕(にしのやゆう)と、部活を休んでいた三年生エース・東峰旭(あずまねあさひ)が戻ってきて、ザ・青春な『ハイキュー!!』第3巻!

この二人、”西の谷に沈む夕日”・”東の峰から昇る朝日”と名前が対極になっていますが、性格も見事に正反対。

159cmと身体は小さいけれどメンタルが強く「漢」な西谷に対し、184cmの大きな身体にパワーをそなえながらもデリケートで傷つきやすい旭さん。

面白い対比だし、それぞれのギャップがキャラクターとしてとても魅力的です。

レギュラーメンバーが出揃ってコーチも決まり、ようやく新チームの態勢が整う巻です。

背負い込んだ自責の念を払拭する「もう一本!」

試合でブロックにシャットされまくり、エースとしての自信を喪失して部活に来なくなっていた

自分がブロックカバーできなかったからだと、部活禁止(教頭の目の前で揉め事を起こしたため)中もその練習に励んでいた西谷

部活は続けているものの、自分がエースに頼りすぎたからだと自責する三年セッター・菅原

バレーボールって優しくて真面目な人ほど一つのミスを気にしたり引きずったりするよなあ、と思い出しました。

人のミスは全力でカバーする気満々だし人を励ますのも得意だけど、自分のミスは申し訳なくて死にそうな気分になるの、痛いくらい解ります。

でも、自分の失点を背負いすぎて部活に来れなくなった旭に日向が言うんです。

たくさんブロックされてきたのかもしれないけど
それよりもっといっぱいのスパイク決めてきたんですよね?
だから皆―

アサヒさんを”エース”って呼ぶんだ

そして旭が戻ったその日、新しく来たコーチ・烏養のもと、町内会チームと試合が行われます。

それまで休んでいた旭と西谷、控えに回ったセッター菅原は町内会チーム側に入ることに。

旭のスパイクが3枚ブロックにいったんかけられ、嫌な記憶がよぎるもパンケーキでフォローする西谷。

それを誰に上げるか一瞬悩む菅原ですが―

<古舘春一『ハイキュー!!』第3巻・P104、105 集英社>

とエースが自らトスを呼び、三枚ブロックを見事打ち破ってみせるのでした。

私はトスを呼ばれる側だったのであまり考えたことがなかったのですが、難しい場面でも呼び続けることって実は勇気が要りますよね。

それに「もう一本!」っていい言葉だなと改めて思いました。

信頼あればこそ!本気のぶつかり合いは気持ちがいい

私は平和主義者ですが、誰か一部の人の我慢の上に成り立つのは平和ではないと思います。

だから必要なら議論やケンカは厭いません(でもイジメは絶対に許さない)。

同じチームにいる以上、みんなに等しく発言権があり、本音をぶつけられる環境がいい。

でも実際、日本にはそうじゃない場のほうが多いですよね。

えー何を言いたいかと言うと、上のシーンの前に挟まれる回想で、二年生リベロ西谷が三年エースの旭に本気でぶつかっていくシーンがあるんです。

<古舘春一『ハイキュー!!』第3巻・P81 集英社>

シャットされまくってトスを呼ばなくなった旭に西谷がくってかかる。

責めているのではなく、信頼しているからできるまっすぐなぶつかり方。

たぶんね、「次は決まるかもしれない」と言ってるけど、西谷の本心では次は決めてくれると信じていると思うんです。

いいメンバーでいい関係だなと思うし、3巻になってようやく烏野というチームが好きになってきた次第です。

あ、信頼と言えば、この↓コマも好き。

<古舘春一『ハイキュー!!』第3巻・P72 集英社>

町内会チームに入った菅原が、初めて一緒にやるメンバーたちとコンビの確認をしているところ。

正セッターではない菅原のクイックを日向は見たことがなかったのか、ちょっとびっくりしてるんですね。

それを見て同学年のキャプテン・大地が誇らしげになる。

それまで一緒にやってきた菅原が正セッターを外れるのは、大地的には絶対悔しいことですからね。

私は”絆”という単語が好きじゃないのですが、こういうシーンを入れてくれるのが『ハイキュー!!』の好きなところです。

主役だけじゃなく、色んな立場のメンバーそれぞれの想いを描いてくれるところ。

いよいよ!ネコたちが登場!!

さて3巻の最後には、音駒(ねこま)高校のメンバーが東京から宮城に合宿にやってきます。

迷子になった音駒のセッター・孤爪研磨にロードワーク中の日向が出会うのですが…

研磨というキャラクターの個性がまたいい!

金髪おかっぱのプリン頭とか、どうやって思いついたんだろう?

体育会系にはあまり居ないタイプだけど、古舘さんの周りには実在したのかなあ?

そんな研磨は体育会系のノリが嫌いだし、バレーは「なんとなくやってる」と言うモチベの低さだし、自分が決して秀でた選手ではないこともちゃんと知っている。

日向とあまり目を合わせないし、声も小さくコミュニケーションをとるのが苦手なタイプだと分かります。

でもチームが強いか問われたら、こういう顔をする。

<古舘春一『ハイキュー!!』第3巻・P193 集英社>

自分のことには自信がないけど、自分のチームには自信がある顔。

こういうのもバレーボール、チームスポーツのグッとくる面ですよね。

音駒のキャプテンの黒尾はかっこいいし、4巻以降への期待が膨らむばかりです!

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