2巻ではまず部内対抗の3(日向・影山・田中)対3(月島・山口・澤村)に決着がつき、”変人速攻”なるものが誕生します。
が、この辺りの流れはリアリティーより説明が多くて、特に響くポイントはなし。
後半では青葉城西との練習試合が行われます。
正直、『ハイキュー!!』が面白くなるのは、他校の選手たちが登場してからだと思うんです。
試合のたびに最低でも7人新しいキャラクターが必要になるのに、次々と個性豊かな男子高生が登場するのはすごい!
でもまだなじめない…『ハイキュー!!』2巻
ただ、2巻ではまだ登場人物の顔も安定してなくて、縁下(二年生部員)は毎回顔と髪の分け目が違うし、180cm以上ある及川の肩幅が妙に狭かったり、作画が不安定なところがあると思います。
(連載の頭からあらゆるキャラクターデザイン&設定をしっかり決めておくのは難しいことなのかもしれませんが。)
ストーリー展開的にも違和感のようなものがあって。
いくら青葉城西に及川が出ていないからと言って、県ベスト4のチームがろくにレシーブもできずオーバーが下手な一年生が二人もいるチームに負けるかなあ?
『ハイキュー!!』では、レシーブやつなぎの下手さがいかに失点につながるかが無視されがちな気がします。
だから青葉城西のメンバーは一人一人のレベルが高いという設定なのに、そう見えないというか。
烏野のエースもリベロもまだ部活を休んでいる状態で、3年が4人もいる青城に負けるとはどうしても思えないんです。
攻撃の要と守備の要を欠いた状態で、青葉城西に勝てる根拠が見当たらない…。
それが影山―日向の”変人速攻”だというなら、「漫画だから都合いいな」しか感想がなくなっちゃう。
「ネットのこっち側はもれなく味方」とバレーはチームでやるものだと強調しているにもかかわらず、影山という天才(と超人的身体能力の日向)が入っただけで烏野は勝ててるし、及川というビッグサーバーが一人欠けただけで青葉城西は負けている。
そこがいまいち腑に落ちませんでした。
ストーリー展開的に、この練習試合、本当に烏野に勝たせる意味があったのだろうか?という疑問も残ります。
青葉城西というチームが好き!
2巻ではまだ一人一人が丁寧に描かれているわけではありませんが、青葉城西っていいチームだなと思います。
私ならこんなチームでマネージャーをやりたい(私は中学・大学ではプレーヤー、高校は男バレマネでした)!
中学時代に影山とひと騒動あった金田一(青葉城西一年・MB)が、練習試合の後で影山に言う台詞。
謝ったりすんなよ!!!俺も謝んねえ!
お前は(中略)最高にブッ倒したい相手だ!だから謝んな!
“ナカナオリ”なんかしねえ!別に元々仲良くねえしな!
そう言える金田一、イイやつだな。
それに何といっても青葉城西の主将・及川徹のキャラの良さ!
イケメンで大人げない努力家ってのがいいですよね。
及川は烏野の天才セッター影山の、中学時代の先輩です。
彼自身も優秀だし身体的に恵まれた面はあるけれど、影山が”持てる者”なのに対して、及川は“持たざる者”として描かれています。
まだ及川&岩泉コンビの阿吽具合はクローズアップされてないけれど、2巻では会話にその片鱗が見えてワクワクする。
あとこの裏表紙側のカバー裏。

<古舘春一『ハイキュー!!』第1巻 集英社>
後ろの岩泉の反応込みで、このイラスト一つで及川のキャラの魅力がすっごく伝わってきます(ほんのりイラッとするウザさ)。
作者・古舘さんのこういうセンス大好きだ!
漫画って、「この人いっぱい出てきてほしい!」と思わせるキャラの存在がいると強いですね。
私は青葉城西の面々を見て3巻以降が急に楽しみになりました。
2巻ではまだ詳しく書かれていないけど、私は青葉城西の三年生は4人ともほんと好きですね。
田中センパイの偉大さについて
さて1・2巻を通してやたらぶつかる一年生たち。
一年生が曲者ぞろいで、三年生がやたら大人で優しい。
なんか都合いいよなあ…と冷めた私は思ってしまうのですが、かろうじて烏野をキライになれないのは、ひとえに二年生・田中龍之介(レギュラーWS)のおかげです。
坊主頭でヤカラみたいな絡み方をする彼ですが、情に厚いイイやつ。
先輩を尊敬して、後輩をよくフォローする、ムードメーカーでもあるのが田中センパイです。
練習試合にガッチガチになり、やらかしまくる日向に向かって
「下手糞上等!!
迷惑かけろ!!足を引っ張れ!!
それを補ってやるための!!
チームであり”センパイ”だ!!」

<古舘春一『ハイキュー!!』第2巻・P101 集英社>
と素で言える田中センパイの格好良さですよ。
田中が二年にいなかったらこのチーム、もっとギスギスしたりグダグダなったりするんじゃないですかね。
とずっと思っていたので、30巻での活躍にはほんと号泣しました。
1巻から読み返してよく分かったのは、田中龍之介がいかに必要不可欠な存在かということ。
この漫画では主人公の日向は”持てる者”、田中は”持たざる者”として描かれています。
でも日向が6人いるチームより、田中が6人いるチームのほうが間違いなく強いと思う。
“持たざる者”の描き方に心が震えるからこそ、私は『ハイキュー!!』が好きなのです。