高校には女子バレー部がなく、男子部の友人に拝み倒されてしぶしぶマネージャーになった管理人ナキです。
うちはマネージャーの仕事がけっこう重視されるので、ミーハーでキャピキャピしているだけでは務まりません(めっちゃ動くのでたぶん元バレー部じゃないとキツイ)。
それなのになぜか「男子部マネ」というだけで色眼鏡で見てくる女子がいる(顔面にサーブ当てたろか、と思います)のですが、そういう人はぼーっと座っているかキャーキャー言っていることしかできないのでしょう。
『ハイキュー!!』13巻は、マネージャーにちょっとだけスポットが当たっているのが嬉しい巻です。
烏野ではなく、春高をかけて戦っている相手・条善寺高校のマネさんなんですがね、「マネージャーって飾りじゃないんだよ」ということが分かる場面があって嬉しい。
そして13巻の表紙は烏野バレー部主将・澤村大地。
この横断幕も効果的かつ象徴的に描かれている。
みんなが”飛ぶ”ためには、”大地”が必要なんですよ。
タイトルが『アソビバ』で、実際試合を楽しむ気持ちって大切なのですが、それだけでは強くもならないし、勝てるワケがない。
守備とメンタルの要・大地が「飛べ」の横断幕を翻しているからこそ、格好いい!
その意味がよく分かる『ハイキュー!!』13巻の、レビューブログです。
型にはまらないチームとの”アソビ”対決
前巻で春高一次予選を通過し、宮城県の代表決定戦に進んだ烏野高校。
初戦の相手は”アソビ”をモットーとする条善寺高校です。
試合前に烏野マネの清水をナンパしたり、なにかと「軽~い」チームのもよう。
しかしいざ試合が始まると臨機応変で、全身を使った「軽やかな」プレーを連発してきます。
自由度満点で、きっと試合を観ていて面白いチームだと思います。
そんな条善寺高校の横断幕は「質実剛健」で、チームの雰囲気とはまるで逆。
条善寺メンバーはこの言葉をダサいといい、大地を「上手いけどなんか地味」と言い放ちます。
その選手たちが、「質実剛健」の本当のかっこ良さに気付くシーン。
1年コンビのミスをカバーし、堅実な守備を見せる大地が「ド派手なプレーは無理だけど”土台”なら作ってやれる」から、

<古舘春一『ハイキュー!!』第13巻・P108、109 集英社>
まぁ存分にやんなさいよ
と後輩たちに言うんです。
しびれますよね、こんな器の大きな主将。
そして、そんな大地の背景に「質実剛健」の横断幕。
なんて象徴的な場面でしょう。
条善寺の選手たちに「派手なだけがかっこいいプレーじゃない」と気付かせちゃった瞬間ですね。
試合のコートを「アソビバ」と呼ぶ彼ら。
でも楽しくない時間は必ずやってきて、2セット目のタイムアウト、IH予選後も一人残った3年の女マネさんがいいアドバイスをするのです。
マネージャーって、見てるからね。
試合だけじゃなく、練習の最初から最後までを毎日見てきている。
だから選手一人一人の特徴や調子は誰より把握しているし、言うべきこと・言ったほうがいいことも分かるのです(実際に口にするかは別として)。
三咲さん、いいマネージャーですね。
息を吹き返した条善寺、さらに頭も使った好プレーも見せ
頭ん中のシミュレーションと現実が一緒になるってサイコー
とは、2年主将の照島のモノローグ。
確かに!バレーの醍醐味ですよね(たぶん他の球技も)!!
そうして最後まで”らしさ”を貫いた条善寺ですが、2-0で烏野が勝利、準々決勝進出が決定します。
女子マネージャーの引退
その後に「マネージャーの引退」を描いたシーンがあって、個人的にキュッときました。
条善寺の3年・三咲マネージャーが敗戦後、後輩たちに声をかけ、涙を浮かべるシーンは必見です。
そして切ないのがこの、3コマの回想と体育館を去る背中。

<古舘春一『ハイキュー!!』第13巻・P159 集英社>
いろいろ思い出して、涙が出ました。
だって男子部のマネージャーって楽じゃないですもん(楽なところもあるでしょうが、少なくともうちは楽じゃなかった)。
球拾いに球出し、球渡し、ゲームの審判。
掃除や洗濯、買い出しにスポドリ作り。
テーピングやアイシングなどの応急処置。
夏は蒸し暑く、冬は凍える体育館。
チーム内の人間関係に問題がある時は解決に悩み、練習の方針を主将と一緒に考える…。
そんなことを他人のためにするよりも、自分でプレーする方が楽しいに決まってますもん。
でも毎日厳しい練習をこなす姿を見ていればこそ、応援する気持ちも強くなり。
試合の時は自分が男子じゃないことをもどかしく思いつつ、スコアブックを書きながら精一杯応援して…。
うちは強豪でも何でもない、ふつうの公立高校でしたが、ベスト8という目標は達成しました。
全国狙いのチームにしたら、苦も無く倒せる相手だったかもしれません。
でもみんな文武両道でよく頑張った(成績悪いと背番号がもらえない)し、私も頑張ったと胸をはって言えます。
だから引退はやっぱり寂しくて切なかった。
やるべきことをやり切って思い出と共に去る三咲にものすごく共感できるし、そんなシーンがあって、ちょっと自分が報われたような気持ちになったのでした。
ベスト4をかけた試合スタート!
勝ったらベスト4が決まる試合、対戦相手は和久谷南高校。
守備力と粘り強さが武器の、烏野が苦手とするチームのよう。
ブロックアウトの技術がある主将の中島猛は、かつて烏野が全国で活躍した時のエース”小さな巨人”に似たプレースタイルで、日向も彼を意識します。
しかもバレーが上手いだけじゃなく、周りがよく見えて主将としての器も申し分なし!
家族総出の応援と、家庭内での彼の立ち位置が何とも…笑
大地との”土台対決”も見ものですが、ブロックカバーに飛び込んだ大地と田中が衝突。
起き上がらない大地…いったい何が…!?
というところで13巻終了。
烏野のピンチですが、14、15巻は特に好きな巻です。
早く書きたいけど上手くまとまるか?ちょっとソワソワしています。